
さて、機体の製作後は、インストの製作順をとばしてエンジンの製作をおこなう。 エンジンは本キット最大の見せ場であるといってもいいだろう。エンジン本体をはじめ、エンジンマウント、スーパーチャージャーなど補器類も可能な限りに再現されている。
製作はエンジンマウントから行う。組み立て自体は何の問題はない。しかし後で分かったことだが、ここでの組み立ての精度がエンジンカバーの取り付けに大きく影響するのである。
本キットはエンジンカバーの全てがマグネットで脱着可能というのが特徴の一つとなっている。そのカバーを固定するマグネットはエンジン本体とカバー側に取り付けるのだが、エンジンマウントの組み立てがいいかげんだとエンジンの搭載位置に微妙なずれが生じてエンジンカバーがピタリと合わなくなってしまうのだ。

エンジン自体は、組み立て後にマウントに、バイクモデルよろしく挟み込みエンジン後部のバルクヘッドとビスで固定するようになっているので、若干の位置調整は可能だが、マウント自体が歪んでいるとやはりずれが生じる。インストでも左右のフレームの付け根が主翼付け根とぴたりと合うように組めと指示がなされている。
エンジンは先にも書いたが非常に良く出来ているので丁重に塗装して仕上げたい。

インストではエンジン本体を含めて補器類のほとんどをセミグロスブラックで塗装せよと指示している。確かに当時の資料を見ると実機のエンジンも概ねセミグロスブラックで塗装はされており、間違いではない。
しかし個人的にプラスチッキーな色調のセミグロスブラックという色が嫌いなのと、スケールモデル的なエンジンのリアルさからほとんど使っていない。 またキットに付属の小冊子に掲載されているエンジンの写真を見るとやはりエンジンは黒いという印象はない。

まぁ塗装に関しては好みもあるとは思う。今回は調色したメタリックブラックをベースにフラッブラックでグラデーションを入れ、ミディアムグレーによるドライブラシでディテールを強調、さらに各パイプのジョイントなども写真を参考に細かく塗り分けて仕上げた。またオイルタンクなどはアルマイト処理されたアルミということで仕上げてある。イメージ的にはヤカンの色だ。

またカーモデル用の配線コードを流用してプラグコードを追加。エンジン上部の配管をプラ材で追加している。もっとも、エンジンをマウントに搭載したらプラグコードはほとん見えなくなってしまった…。
配管やコード類を追加したくなるのは性だが、今回の場合、エンジンカバーとの兼ね合いを考えて工作しないと後でカバーが閉まらないということになるので、充分な仮組みと摺り合わせが必要だ。

エンジン下面のオイルタンクの内部に取り付ける磁石。エンジンカバー側にエッチング製の金属板を取り付けることで固定することが出来る。